プロローグ:荒れた海の先に、佐渡が待っていた
「これ…ほんとに着くのかな」
冬の日本海は想像以上。フェリーは大きく揺れて、ちょっとしたアトラクション状態だった。何度か「いや、これ大丈夫?」と本気で思ったほど。
でも荒波の先にあったのは、島の空気がふっと変わる佐渡。港に着いた瞬間、「生きてた…」と変な安心感が込み上げてきた。

これは旅?仕事?それとも“暮らし”の手前?
今回の拠点は hostel Perch。ここから、少し変わった実験が始まる。
今回やったのは、「ADDress × タイミー」の実証実験。
地域に泊まって、少し働いて、その土地の人に近づく——そんな体験モデルを、2025年12月15日〜17日の2泊3日で佐渡で試した。
参加者は全国から集合。旅する料理人や、自由な暮らしを実践する人、ADDress会員など、背景はバラバラ。初対面の人たちと一緒に、農業・水産の現場に入っていく。ちょっと緊張しつつ、楽しみも大きい。

1日目の夜:サウナと食卓で、一気に距離が縮む
Perchに着いたらまずサウナ。冷たい外気と熱いサウナの往復で、さっきまでの船の怖さが嘘みたいに消えた。
夕食は、Perchの料理人さんと旅する料理人がタッグ。佐渡の魚介、土屋さんのお米のお寿司、佐渡の野菜と山菜がたっぷり入った鍋、へんじんもっこのサラミとチーズ、t0ki breweryのビール。しかも明日以降お世話になる農家さんたちも同じ卓にいる。
hostelらしく、島の人や旅行者も混ざって、気づけば賑やかな夜。ビール片手にそれぞれの話をして、明日が楽しみになっていった。

2日目:牛のかわいさにやられ、作業が意外と楽しい
朝は山田牧場へ。放牧地でのんびりしている牛たちが、人懐っこく寄ってくる。撫でると目を細める。正直、牛ってこんなに表情あるんだ…と驚いた。
作業は牛糞堆肥まき。最初は身構えたけど、まったく匂いがなくて拍子抜け。みんなでやると進むのも早く、作業中のおしゃべりも含めて楽しい時間になった。山田さんが「いつも一人だから楽しい」と笑ってくれたのが印象的だった。


そのあとは土屋農園へ。出荷前のコシヒカリの選別の見学や、用水路掃除、柿の剪定も体験。用水路は詰まりを取った瞬間に水が勢いよく流れて、地味に達成感がすごい。剪定は難しいけど、枝がスパッと切れた瞬間だけは気持ちいい。


農作業後のお昼はお寿司。佐渡の寿司ネタは新鮮でとってもおいしかった!
午後は佐渡市長にもご挨拶。驚くほど気さくで、「夏の佐渡は最高ですよ」と言われて、素直に「また来ます」と返していた。
3日目:水産のスピード感に圧倒される
最終日は石原水産へ。市場から来た魚を、すごい勢いでさばいて選別して梱包して発送。とにかく速い。鮮度が命、という言葉がそのまま現場に出ていた。「昨日食べたお寿司、ここの魚なんですよ」
そう言われて、急に昨日の味がリアルに繋がった気がした。

おわりに: “ちょっと働く”が、地域との距離を変える
帰りのフェリーは穏やかで、ようやく心に余裕ができた。振り返ると、これは観光でも労働でもなく、その間にある何かだった。
観光だとどうしてもサービスを享受し、消費をするだけの「お客さん」になりやすい。
でも一緒に作業すると、自然と関係が横並びになる。生産者の一部になって地域に溶け込むことができる。
「助かったよ」「また来てね」その一言が、旅の印象を変える。
次は、夏の佐渡にも来たい。
今回の実証はまだ第一歩だけど、「地域に泊まって、少し働いて、つながる」という形には、ちゃんと手触りがあった。

実証のプロジェクト概要はこちらから
多拠点生活とスキマバイトを組み合わせた一次産業の労働力不足解決/関係人口創出プロジェクトの実績紹介【TIB CATAPULT】|活動紹介|うけもち
