一般社団法人AgVenture Labは、TIB CATAPULT事業に採択され、「Sustainable AgriTech & FoodTech Cluster」の代表事業者として活動を進めています。私たちは食と農に関わるさまざまなプレイヤーと共に、フードバリューチェーンのあらゆるプロセス(生産資材の調達から生産、加工、流通、そして消費に至るまで)をアップデートし、その先にある“サステナブルガストロノミー”の実現を目指しています。
その取り組みの一つとして、今回は「日本酒文化の新しい楽しみ方」をテーマにしたプロジェクトをご紹介します。
■本プロジェクトで解決する課題
日本酒は国内外で注目されつつある一方で、若年層や都市部での消費体験の機会が限られ、「敷居が高い」と感じられることが少なくありません。小容量で手軽に楽しめる「ICHI-GO-CAN」によって、従来の瓶文化に縛られない新しい飲用体験を提供。さらに、日本酒の文化や歴史、現在の姿に触れるきっかけを作ることで、若年層を中心に日本酒を“教養”として楽しむ機会を広げていきます。
■プロジェクト概要

このプロジェクトを担うのは、150以上の蔵元と連携し、日本酒を一合(180ml)の缶に詰めて届ける株式会社Agnaviの「ICHI-GO-CAN」。
そこに、AgVenture Labが培ってきたPRイベントのノウハウや幅広いネットワークを掛け合わせ、日本酒の未来を語り合う場をつくり出しました。
イベントでは「ICHI-GO-CAN」を試飲として提供し、参加者は実際に味わいながら、その背景にある蔵元の想いや地域の物語に触れることができます。
■連携の背景
株式会社Agnaviは「ICHI-GO-CAN」という新しい日本酒体験を提供。
一方、一般社団法人AgVenture Labは食品・農業分野でのPRイベントやネットワーク構築に強みを持っています。
両者の知見を組み合わせることで、単なる商品の紹介にとどまらない、日本酒文化の普及と体験の機会を生み出しています。
■取り組みによるインパクト
このプロジェクトを進めることで、次のような広がりが期待されています。
① 日本酒の手軽な消費機会を提供し、新しい消費層を開拓
これまで「日本酒は瓶を買うと飲みきれない」「重くて持ち運びにくい」と感じていた人でも、一合缶なら気軽に手に取りやすくなります。例えば、仕事帰りにコンビニで一本買って家で楽しんだり、ピクニックやアウトドアに持ち出して友人とシェアしたり。小さな一合缶から、日本酒に初めて触れる若い世代や都市部の消費者が広がっていきます。
② 中小蔵元の認知と販路拡大を支援
日本各地には、まだ広く知られていないものの、個性豊かで魅力ある酒蔵が数多く存在します。しかし、流通やPRの課題から、その価値が十分に伝わっていないのが現状です。ICHI-GO-CANを通じて、地方の蔵元のお酒が首都圏のイベントで紹介されたり、海外のバイヤーの目に留まったりすることで、新たな販路や出会いが広がります。地域に根差した酒造りが、多様な消費者や世界とつながるきっかけを生み出していきます。
③ 日本酒文化を国内外に向けて発信し、価値を再発見
日本酒はユネスコ無形文化遺産にも登録されている、世界に誇れる日本の食文化です。けれども、日常的にその価値を意識する機会はまだ多くありません。体験型イベントを通じて「ただ飲む」以上の楽しみ方を提案し、日本酒に込められた歴史や地域の物語を伝えることで、人々が改めてその魅力を感じ直すことができます。そしてその物語は、国内だけでなく海外のファンにも届き、日本酒文化が新しい形で広がっていくことを目指しています。
■今後の展開
今後は、日本酒に触れられる体験型イベントを定期的に開催し、ただ味わうだけでなく、蔵元の物語や地域の文化に触れられる場を増やしていきます。さらに、観光地や空港など旅のシーンでの提供、そして海外ECを通じた発信によって、日本酒を国内外でより身近な存在へと広げていきます。瓶ではなく缶だからこその軽さと扱いやすさは、流通や輸出においても強みとなり、世界中の食卓に届ける可能性を後押しします。また、食品や飲料、観光業といった異業種とのコラボレーションを通じて、地域の食材や観光体験と結びついた新しい商品やサービスも生まれていくでしょう。こうした広がりによって、日本酒はより多様な人々の日常や旅の時間を彩りながら、文化としての価値をさらに深めていきます。
■Agnaviコメント
日本酒の消費拡大と文化醸成、さらには知識としての教養を広めることを目的に、TIB CATAPULT「SA&Fクラスター」の一環としてイベントを開催しました。当日は業界関係者のみならず、異業種の方々にもご参加いただき、多角的な視点から日本酒の魅力や可能性を再認識する機会となりました。第2回目の開催では、自走的な運営体制を整えることができ、本プロジェクトが確立へと進展しています。今後は物品販売や復興支援とも連動させ、より広がりのある取り組みとして発展させてまいります。
■両社について
株式会社Agnavi
日本酒ブランド「ICHI-GO-CAN」などを展開するスタートアップ。全国200種類以上の地酒を取りまとめ、規模に関わらず蔵元の魅力を伝えることで日本酒の消費拡大とサプライチェーンの構築を目指しています。取引蔵元は150蔵を超え、すでに世界10か国へ輸出。
企業HP: https://agnavi.co.jp/
一般社団法人AgVenture Lab
JAグループ全国連8団体が立ち上げたイノベーションラボ。スタートアップや企業、大学、行政などと協創し、新たな事業やサービスの開発を通じて社会課題の解決を目指しています。
企業HP:https://agventurelab.or.jp/