AgVenture Labは2024年10月に、東京都が展開するグローバルイノベーションに挑戦するクラスター創成事業「TIB CATAPULT」で、食農領域でイノベーションを創出する「Sustanable AgriTech & FoodTech Cluster(SA&Fクラスター)」代表事業者として採択されました。
今回はその取組の一環として、同じく「TIB CATAPULT」にライフサイエンス領域のクラスターとして採択された「LINK-BioBAY TOKYO」の代表事業者であるLINK-Jと共催で開催したイベントについてレポートをお届けします。

本イベントは医療と食農領域を越境する研究や事業を紹介し、参加者同士のネットワーキングを通じて新たなイノベーションの芽を生み出すことを目的に開催されました。
食と医療が交差する最前線 ― 米と微細藻類から拓く未来
基調講演① 米型ワクチン「MucoRice」

千葉大学・清野宏先生からは、米を活用した新しいワクチン「MucoRice」の研究開発について紹介がありました。
「MucoRice」は口から接種する米型の新しいワクチンです。常温保存・針不要といった環境面での利点もある画期的な技術で、既に日米で安全性や免疫原性を確認する試験が進んでいます。
基調講演② 微細藻類ユーグレナの可能性

株式会社ユーグレナの花城 拓史氏からは、ユーグレナやオーランチオキトリウムといった微細藻類の飼料・栄養素材としての活用を紹介がありました。
ユーグレナに含まれる成分パラミロンは免疫機能や生活習慣病予防に期待され、養殖魚の成長や免疫力向上でも成果が報告されています。人間だけでなく動植物の健康基盤を支える研究が進んでいます。
食と健康を革新するスタートアップ4社のピッチ
食と健康をテーマにした4社の挑戦が披露されました。それぞれが健康寿命の延伸や生活習慣病予防、食文化の継承といった多様な課題に取り組んでいます。
MISOVATION:冷凍味噌汁「MISOVATION(ミソベーション)」で味噌文化を活かした完全栄養食を提案。

トイメディカル:海藻由来の特許技術で「味を変えずに減塩」を実現。

サイキンソー:腸内環境検査「Mykinso(マイキンソー)」で健康習慣を日常に取り入れる仕組みを構築。

KINS:菌の力を活用したスキンケア・腸活製品からマイクロバイオーム創薬を目指す。
「医」と「食」をつなぐ共創のヒント
基調講演とピッチに登壇した全6社がパネルディスカッションに登壇。予防医療の普及を阻む制度面の壁、新素材への心理的抵抗、資金や規制の課題など、共通する障壁が議論されました。

そして今回は食農と医療という越境する事業についてフォーカスしたイベント。パネルディスカッションにおいても製薬会社・病院・食品メーカー・金融機関・行政・インフルエンサーなど、産業や分野を横断した幅広い領域との連携の可能性と必要性が強調されました。

最後に登壇者からは、それぞれの事業で目指す世界と医療と食農のイノベーションが実現する未来へのメッセージが示されました。
イベントは盛況のうちに幕を閉じ、ネットワーキングを通じて次の共創の芽が芽吹く場となりました。
■一般社団法人AgVenture Labについて
AgVenture Lab(アグベンチャーラボ=あぐラボ)は、全国農業協同組合中央会、全国農業協同組合連合会、全国共済農業協同組合連合会、農林中央金庫、家の光協会、日本農業新聞、農協観光が共同して、2019年5月27日に設立しました。スタートアップやパートナー企業、大学、行政などと共創し、様々な知見やテクノロジーを活用しながら、新たな事業創出、サービス開発、地域課題の解消を目指します。
https://agventurelab.or.jp/
■一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)について
LINK-Jは、三井不動産と産学の有志が中心となって設立した一般社団法人です。医薬関連企業が集積する東京・日本橋エリアを本拠点に、産官学連携によるライフサイエンス領域でのオープンイノベーションを促進し、新産業創造を支援することを目的としています。医学をはじめ、理学や工学、ICTや人工知能といった新たなテクロノジー等、あらゆる科学の複合領域であるライフサイエンス領域において、分野を超えた内外の人的交流・技術交流を促進していきます。
https://www.link-j.org/