みなさん、こんにちは。
サステナブルガストロノミーについてお話したnoteの記事から引き続き、今回はその実現に向けて、私たちが採択された東京都の事業とAgVenture Labが取り組む活動について、どのように繋がっていくのかをお話したいと思います。
<東京都「10x10x10のイノベーションビジョン」TIB CATAPULTとは?>
TIBは”Tokyo Innovation Base”の頭文字・CATAPULTは飛行機を射出する装置をさしています
2022年11月に東京都はGlobal Innovation with STARTUPSというスタートアップ戦略を策定しました。この戦略ではグローバルx10、裾野拡大x10、官民協働x10で未来を切り拓く「10x10x10のイノベーションビジョン」を掲げており、東京都が「挑戦者が生まれ、世界から集まり、そして挑戦者を応援する都市へ」という想いから、取り組みが戦略的に展開されています。
この戦略の上で東京都は、国内外からスタートアップに関わる様々な団体等が集まり、重点的な支援を提供する一大拠点として「Tokyo Innovation Base」を構築。そのTokyo Innovation Baseを拠点に、都内のスタートアップの協働支援を通じて、グローバルイノベーションに挑戦する複数企業の集団(=今回の事業ではこの集団を「クラスター」と呼びます)からのイノベーション創出を目指すのが「TIB CATAPULT」です。
「Tokyo Innovation Base」は、「世界最高にスタートアップフレンドリー(※)な東京」を実現するために有楽町に設置され、世界中のイノベーションの結節点を目指している施設です。
※東京都が掲げるスタートアップフレンドリーとは
東京都は、①イノベーションを起こす”場づくり” ②成長を促し、加速させる投資③ファーストカスタマーとしての公共調達拡大④規制・ルールの”リ・デザイン”の4つの取り組みを包括的に全面展開することで、「世界一スタートアップフレンドリーな都市”東京“」を目指すと宣言しています。
参照:東京都の新たなスタートアップ戦略「Global Innovation with STARTUPS」(有楽町駅に隣接されているTokyo Innnovation Base)
具体的には、都内の様々な産業・製造業やテクノロジーの領域において、イノベーションを巻き起こすために組成されたクラスターと東京都が協定を締結し、各領域におけるスタートアップとの連携・協働を推進、協働実績の創出を目指します。
AgVenture LabはこのTIB CATAPULTで採択された6領域のうちのひとつ、アグリテック・フードテックの「クラスター」代表事業者として選ばれ、今後、事業推進を行っていきます。クラスター名をSustainable AgriTech & FoodTechクラスター(通称SA&Fクラスター)と呼び、フードバリューチェーンの川上から川下までを対象として多様な事業者が現時点で30社以上、参画しています。
(SA&Fクラスターが取組む注力領域)
SA&Fクラスターは、サステナブルガストロノミーが実現された社会を目指しています。サステナブルガストロノミーとは、以前のnoteでも記載したとおり、持続可能な食文化という意味で、国連でも推進されている食の概念です。東京都は、金額ベースで全国の15%以上の食が消費されているほか、ミシュランガイド掲載数で17年連続世界一、かつグリーンスター(※)獲得数も世界一であるなど世界に冠たる大消費地・美食の都市です。このような特徴のある東京を発信地として、サステナブルガストロノミーを実現できるとAgVenture Labは考えています。
※グリーンスターとは、サステナブルな食の取り組みをしている飲食店を評価する制度です。
全国で生産された食品が大消費地である東京に集まるという「地域発、東京経由」の構図で、サステナブルガストロノミーを全世界に発信していく事を目指しています。
<そして、私たちが取組む活動について>
前置きが長くなってしまいました。実際にSA&Fクラスターは何を行うかをご紹介します。
ひとことでいうと、「アグリテック・フードテック領域のスタートアップ企業とSA&Fクラスターに参画している事業者との協働活動の主導」です。
(ラスター名は<Sustainable AgriTech & FoodTechクラスター>)
JAアクセラレータープログラムを代表とする多様な活動でAgVenture Labが培ってきたスタートアップのネットワーク網を存分に活かし、フードバリューチェーンの川上から川下まで多様な協働を促し、食農領域の社会課題解決に取り組みます。具体的には、3か年で20件以上の大企業等とスタートアップによる協働実績の創出を目指します。クラスター参画事業者となりたい、スタートアップ側としてクラスター参画事業者と協働したいというご相談を随時受け付けておりますので、お気軽にホームページよりお問い合わせください。
<SA&Fクラスターのキックオフ>
10月7日に、SA&Fクラスターに参画している事業者がラボに集まり、これから本格的に始まるTIB CATAPULTに向けて事業内容の説明を行いました。
(SA&Fクラスター参画事業者が一同に集まりました)
各事業者が事業内容を紹介し、どのようなスタートアップと協働を狙いたいかを発信したり、交流会では個々で新たなネットワークが創出されるなど、クラスターの団結をより強固にし、スタートアップとの協働へ同じ方向を向くことに期待が高まりました。
<TIB CATAPULTのキックオフ>
(200名以上が参加する大規模なキックオフとなりました!)
また、10月24日にはTIB CATAPULTの6領域すべてのクラスターが集まるキックオフイベントがTIBで開催され、プログラムの中でAgVenture Lab代表理事理事長の荻野がSA&Fクラスターに関してプレゼン、そしてトークセッションをおこないました。
(SA&Fクラスターについてプレゼンする荻野氏)
トークセッションの中で大きく盛り上がった話題を2つご紹介したいと思います。
1・アグリ・フード領域をスタートアップフレンドリーな領域へ
東京都が主催する「SusHi Tech TOKYO」という大規模なスタートアップイベントについて、SA&Fクラスター内で知っているか聞いたところ、参画事業者がほぼ認知していないということが分かりました。この事実を受け、東京都としてはアグリ・フード領域の事業会社によるスタートアップへの理解・関心は更なる伸びしろがあると考えており、本事業をきっかけにアグリ・フード領域がよりスタートアップフレンドリーな領域となっていくことに期待が寄せられました。
2・気候変動をはじめとする環境問題への貢献が期待されている
気候変動や異常気象による農業への影響は日本全体として緊急性の高いテーマとして昨今取り上げられています。しかし農業もまた、気候変動をはじめとする環境問題の要因となっていることも目をそむけてはなりません。この両方の側面における技術進歩・イノベーションを創出することがSA&Fクラスターが掲げるサステナブルガストロノミーには欠かせないと議論されました。
その他、SusHi Tech TOKYOと連携したイベントの可能性や、国連との関わり、そして宇宙領域をはじめとする他クラスターとの協働の可能性など、今後のTIB CATAPULTの取り組みによってイノベーション創出がより拡大していくような、期待感のある声が数多く上がりました。
<これから本格的に始動します!>
AgVenture Labでは、更なるアグリテック・フードテック領域のスタートアップ企業とSA&Fクラスターに参画している事業者との協働を促すため、様々な施策を検討中です。繰り返しとなりますが、クラスター参画事業者となりたい、スタートアップ側としてクラスター参画事業者と協働したいというご相談を随時受け付けております。
また、クラスターに参画している企業への個別相談をはじめ、偶発的なマッチングを促すイベントなども開催していく予定です。
今後もTIB CATAPULT・SA&Fクラスターに関する情報を随時noteにて告知・紹介していきますので、引き続きnoteのチェックをお見逃しなく。
※この記事はAgVenture Labのnoteで公開した内容です。
noteはこちら▼
https://note.com/agventurelab